三菱UFJ信託地域文化財団インタビュー

地域に根ざした文化芸術活動を 行っている方々に

公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団 常務理事 事務局長 の齋藤力也さんに、
財団の思いや活動に関するインタビューを行いました。
財団の概要
三菱UFJ信託地域文化財団は、1989年11月に、当時の東洋信託銀行の創業30周年を記念して設立され、2011年6月に、公益財団法人へ移行しました。 本財団は、永年地域文化の振興に寄与してきた団体の中で、とりわけ地域の「音楽」「演劇」「伝統芸能」において努力されているアマチュアの諸団体の活動、 並びに地域の人々に優れた美術品の鑑賞機会を提供する「美術活動」に対して助成支援を行っています。

日本の文化芸術を支える、
地域団体へのサポート

日本各地には、音楽、美術、演劇、伝統芸能の各分野で永年にわたり地域に根ざした活動している団体が数多くあります。私たちは全国各地のそれぞれの地域で、特色ある文化芸術活動を行っている諸団体の公演および美術展等に対して助成事業を行っており、財団設立以来の助成実績は、全国47都道府県で、累計1,700団体を超えています。

コロナ禍にあった3年間は、文化芸術のあり方が大きく制約され、公演中止など厳しい状況に置かれました。とりわけ、伝統芸能分野においては、少子高齢化の影響とコロナ禍のダブルパンチに見舞われ、古くから伝わる民俗芸能の保存、伝承等に大きなダメージを受けました。私たちの助成事業が、先人が残してきた地域固有の文化や伝統を守り、次世代に継承していくことにいささかなりともお役に立てればと思っております。

毎年8月から11月にかけて行う助成団体の募集に際しては、全国47都道府県の文化振興部署への案内送付、ホームページへの掲載、信託銀行の各営業部支店への案内の三本柱となりますが、中でも全国の都道府県の文化振興部署には直接電話をして、各市町村や関連団体への連携を依頼する情宣活動を行っています。例年250件前後の応募が寄せられており、今後も微力ながら地域における多様な文化芸術活動に寄与していきたいと考えています。
齋藤力也さん
齋藤力也さん

コロナの試練を超えて、
再び輝き出す地域文化の魅力

私たちが支援している、音楽・美術・演劇・伝統芸能の各分野の団体は、コロナ禍の3年間は、公演や展覧会などの中止や延期を余儀なくされ、厳しい状況に置かれた団体もありましたが、経過措置として中止先については、次年度以降に公演等を行う場合に、再応募は可としておりました。

コロナ明けで公演を実施できた団体から、「3年ぶり、4年ぶりに公演ができて本当によかった」「私たちのような地方の小さな団体に助成していただき、とても感謝しています」という声をいただいています。コロナを乗り越えて、改めて地域文化の底力や豊かさなど、その魅力を感じることができました。

全国各地の公演や美術展を鑑賞し、
地域の輝きを実感

現状や活動について、地域の方々から直接お話を伺うことが重要だと考えており、財団事務局で分担して、助成した全ての公演や美術展に足を運ぶようにしています。毎年50件程度の助成団体があり、開催日は土日祝が多いです。2023年度は、北は利尻島から南は沖縄での公演がありました。業務の都合上、鑑賞は日帰りが基本で、一回の出張で都道府県を跨いで回ることもあるため、行程を組むのが大変です。少々ハードですが、現地にお伺いして助成団体の皆さんと直にお話することで、文化芸術に対する熱意や想い、また、伝統文化継承の大変さについて身をもって感じることができました。なにより当財団の助成を大変喜んでいただいており、多くの「感謝の言葉」を頂戴しています。

知識や知見のない状態でこの業務に就いたので、日々勉強の毎日となりますが、各分野に精通している選考委員で理事の先生方にご指導を仰いでおります。“ 百聞は一見にしかず” という諺どおり、応募書類だけでは見えてこない世界が現地では広がっていて、目で見て、耳で聴いて、肌で感じることの大切さを改めて感じています。
齋藤力也さん

地域文化の未来を切り拓く

コロナを乗り越えて、改めて、永年にわたり培われてきた地域の伝統芸能や特色ある文化芸術の素晴らしさを感じることができました。助成団体の公演がきらきらと輝いているとともに、なにより鑑賞している地域の方々が笑顔で満足している様子が伺えます。

実際に訪問し現状を知ることで、私たちのサポートが役立っていることが実感できますし、助成事業の意義を深く感じることができました。微力ながら、今後も地域の芸術文化を守り育て、次世代につないでいくかを念頭に、より多くの団体に助成のお手伝いが出来ればと思っています。

三菱UFJ信託地域文化財団の助成先の声

長野県 犀川神社
犀川神社の太々神楽(神楽囃子(かぐらばやし)獅子舞)は1753年頃に現在の形になったと伝えられ、男獅子が、笛・太鼓・鉦・囃(はやし)唄(うた)に合わせて、悪魔を払い、五穀豊穣を祈り、その土地の安泰と繁栄を願う舞いです。
近年は杜(もり)煙火(はなび)と共演し、1969年に長野市の無形民俗文化財指定されました。
保存会は、1967年に発足し、地域の伝統文化の保存・伝承に努めるとともに、神楽囃子獅子舞を披露して、若い会員の活躍の場を作っています。
太々神楽は地域住民の寄付で成り立っており、楽器の修理等の金銭的な余裕はありません。
また、少子高齢化も進展しており、若者世代への伝承が死活問題となっています。

そんな中、財団からの助成金は、非常にありがたく、太鼓の革の張替え及び新しい太鼓の購入に使わせていただき、本当に助かりました。
この祭事を続けることは、地域コミュニティのつながりを感じながら、地域を未来へ続けていくことだと感じています。
太々神楽の様子1 太々神楽の様子2
茅ヶ崎市民劇団 湘南座
私たちは1993年から活動をしています。
元々は茅ヶ崎市文化団体協議会の演劇部門として発足した経緯があり、団員は市内在住者を中心としています。
団員はそれぞれの日常生活がある中で、演劇に向き合って日々訓練をしています。
以前は、神奈川県の演劇コンクールや知人からの依頼で公演をしていましたが、最近では、「夕鶴」を本郷台アースプラザで公演するなど、市外での活動も増えてきました。
現在は年に1度、文化会館で公演を行っています。
少ない人数の中、自分たちの経費だけでは開催するのが厳しい状況にありましたが、この度、助成していただいたおかげで、無事公演を行うことができました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

私たちはこれまでの経験を活かして、団員全員が一丸となって活動の幅を広げていきたいと考えております。
今後は、映画を作ったり、トラックで小学校を回ったりなど、色々なことにチャレンジしていきたいと思っています。
湘南座の様子1 湘南座の様子2
事務局長のインタビューは2023年11月に実施いたしました。所属・肩書は当時のものです。
犀川神社のインタビューは2023年9月、湘南座のインタビューは2023年10月に実施いたしました。