三菱UFJ信託奨学財団インタビュー

70年もの間、学生を支え続ける。 学生に向けた変わらない想いとは

公益財団法人 三菱UFJ信託奨学財団 常務理事 事務局長の冨永保人さんに、
財団の想いや活動に関するインタビューを行いました。
財団の概要
三菱UFJ信託奨学財団は、1953年11月に当時の三菱信託銀行の創立25周年を記念して、同社から寄附金1千万円の拠出を受け「財団法人 山室記念会」として設立。 「財団法人 三菱信託山室記念奨学財団」「財団法人 三菱UFJ信託奨学財団」の名称変更を経て、2010年11月に公益認定を受けて「公益財団法人 三菱UFJ信託奨学財団」となりました。 本財団は これまで内外の才能ある若者への支援を中心とした事業を推進し、産業の発展と海外との経済交流を活性化させるために活動しています。

時代の変化を取り入れつつも、
変わらない学生への想い

三菱UFJ信託奨学財団は、1953年に設立され、2023年で70周年を迎えました。設立された当時は、戦後まだ間もない時期で、日本の復興を支えていける人財を育成していきたいという想いから設立されました。学生のみなさんには、勉強だけではなく、実学を学び、多くの方としっかりつながっていく力を身につけていただきたいと思っています。
今では、多くの方が大学へ進学できる時代になりつつあります。環境の変化に応じていくことはあるものの、人財を育成していきたいという財団自身が目指すところは、設立当時から変わっていません。私たち財団は未来ある学生を応援していきたいと思っています。
冨永保人 写真1
冨永保人 写真2

いつの時代でも必要な
“一生モノ”の力を身につけてほしい

昔は、定年まで勤め上げる人がほとんどでしたが、今では転職が当たり前になり、職種もコンサルティング会社やIT関係に人気が移ってきたり、中には起業したりする人もいて、時代の変化を感じています。これからの人生において、自分自身の価値を見直す場面は何度か経験すると思います。社会人になっても、定年を迎えても、人とつながる力、学び続ける姿勢、そして、若いときの経験はとても役に立ちます。学生のみなさんには、そのことを理解した上で、時代の変化をキャッチして、自分自身で成長できる人財になってほしいと思います。

学生との関わりで変化した仕事の価値観

多くの学生のみなさんと向き合うことで、私自身も若いエネルギーに触れることができ、日々発見の連続です。学生の方から感謝される機会がある一方で、自分も感謝をすることが増え、とてもやりがいのある仕事だと思います。心から楽しい仕事をしていると、自分自身も高まっていきます。これまで銀行員としてがむしゃらに仕事をしてきましたが、学生のみなさんへ見返りを求めない奉仕を提供させていただくことで、自分自身を成長させることができるので、本当に尊い仕事だと思います。
財団にとってかけがえのない財産
本財団のOB・OG会では、それぞれの立場で新しい出会いを活用し、人脈を積極的に広げることができます。OB・OG会は現役生も含めた交流会として、全国各地で多くの方々が参加しています。このような人間関係は、現在の国際社会で既に活躍している方々はもちろん、これからの新しい時代を担っていく修了生にとっても、大変貴重な財産となっていくと期待しています。奨学金の給付終了後も着実に未来に向かって広がっていくこのような「人の輪」こそ、本財団のかけがえのない財産だと考えています。
冨永保人 写真3

学業に専念できる環境を提供するために

最近、社会貢献を目的として、一般企業の奨学事業への新規参入が増える中で、私たち財団ができることを常に模索しています。将来的に給付人数や給付額を増やせる予算が組めるよう財団資産の運用ポートフォリオを検討したり、毎年約360人の奨学生や大学担当者と対話し彼らのニーズに耳を傾けたりしています。絶えず変化する学生や大学の状況に柔軟に対応できる財団となるよう努めています。
一生に一度の学びの機会を大切にし、将来に役立てることで、次の世代にバトンをつないでほしいです。奨学金を活用することで、学業やサークル活動に専念し、充実した学生生活を送ってほしいと考えています。是非とも奨学金を上手に使って、自身の可能性を最大限に引き出していただければと思います。

奨学金担当部署の声


奨学生のサポートを担当する部署を代表して、
4大学の方々に、普段の活動内容や三菱UFJ信託奨学財団の活動についてインタビューを行いました。
慶應義塾大学
本学の奨学金は全て返済不要の給付型で、学業優秀な方、経済支援が必要な方を対象とした奨学金があります。
また卒業生(塾員)、卒業生組織の三田会や篤志家の方からの寄付金で運営している奨学金もあり、卒業生との結びつきが大変強い点が特徴の1つとなっています。
他にも地方出身を対象とした入学前の予約型のもの、留学用の奨学金といった形で、幅広く対応しています。
選考にあたっては、学力や家計の状況などを総合的に判断しています。

三菱UFJ信託奨学財団の給付を受けるのは、経済的な支援が必要な状況で、学業に励む学生のほか、国際的な活躍を視野に入れ留学を考えている学生、サークルにしっかりと取り組む学生が多いです。
学生からは、アルバイトの時間を減らして、学業やサークル活動に邁進することができるようになったという声が上がっています。
三菱UFJ信託奨学財団主催で交流会を開いてくださったり、大学にお越しいただいて、学生と直接面談してくださったりと、経済的な面だけではなく細やかなサポートをしていただいております。
OB・OGとの交流会は学生もとても喜んでおり、このようにさまざまな機会を与えていただき、感謝申し上げます。
慶應義塾大学学生部・山口徹福利厚生支援課長
慶應義塾大学学生部 山口徹福利厚生支援課長
上智大学
本学の奨学金には大きく分けて2種類あり、一つは経済的事情により学業の継続に困難が生じた学生を支援するもの、もう一つは顕著な成績を収めた学生の学業を奨励するもので、すべて返還不要の給付型です。
自身の経済状況に急変があったときには、すぐ大学へ相談に来られるようホームページや学生向けポータルサイトで呼びかけています。
奨学金の豊富な知識を持った担当者が、その状況に応じて適切な奨学金を紹介したり、ときには一緒に学生生活の悩みに寄り添い、相談に乗ることもあります。

今奨学金を受給している学生たちは、コロナ禍で本来思い描いていたような学生生活ができなかった世代ですので、自分に何ができるのか試行錯誤して見つけたり、勉学や課外活動に熱心に取り組む学生が多くいます。
様々な困難があっても大学で学ぶ道を選んだということで、より学びに対する自覚と責任が芽生えているように感じます。

三菱UFJ信託奨学財団の皆様にはこれまで長きにわたり、本学の学生にご支援いただきまして心より感謝申し上げます。
学生の成長を大変熱心に考えていただき、温かく見守ってくださっています。
また経済的なご支援だけではなく、面談や交流会を通して、社会に出ていく上での大切な経験の機会を与えていただいております。
そのため、積極的に留学やインターンシップに挑戦するなど、自身の知見を広げることに意識が向いている学生が多いです。
今後もこれまでのご支援やご期待に応えられるよう、意欲の高い学生を推薦させていただきます。
上智大学学生局 新妻佳祐学生センター事務長
上智大学学生局 新妻佳祐学生センター事務長
法政大学
学生センター厚生課が一番力を入れているのは学生のための奨学金です。
コロナ禍においては、家計の急変に見舞われた学生への奨学金や、アルバイト収入が途絶えた学生のための緊急支援奨学金といった支援策を設けて、学生が経済的理由で退学することのないように努めてきました。
最近の学生はとても真面目に授業に出席し、試験をきっちり受けています。
奨学金があれば、アルバイトに時間を費やす必要がなくなり、課外活動にも力を入れることができますから、今の大学生の生活の中で奨学金というのはとても大きな役割を果たしていると思います。
奨学金に応募する学生は、情報感度が高く、自分なりの課題意識を持って学生生活を送っている人が多い印象です。

三菱UFJ信託奨学財団には、長きに渡り学生を支援していただいており、とても感謝しています。
学生にとって、一度受けた支援は「一生もの」で、支援された記憶は卒業後もずっと残るものです。
その支援された経験によって、今度は自分がサポートする側にまわっていくというような、ポジティブな連鎖が心の中に育まれるのではないでしょうか。
やがて大学の枠を超えて、奨学財団のOB・OGの中に自分が入っていくことも、奨学生たちの心の支えになると思います。
法政大学学生センター 大美由紀厚生課長
法政大学学生センター 大美由紀厚生課長
早稲田大学
本学の独自奨学金の歴史は長く、少なくとも大正時代には奨学金制度が存在していましたが、今日に至るまで、国の政策や学生の経済状況に向き合い柔軟に奨学金制度を見直しながら、意欲ある学生や経済的に困難な学生を支援してきました。
学生が修学を継続するため、そして多様な経験を積むためには、どうしても資金が必要な場面があります。
そこで本学では、学生がどんな立場にあっても学びを諦めないための支援を第一に考え、約150種類の独自奨学金を準備しています。
多様な奨学金の裏には、多くの支援者の存在があります。
「後輩を支援したい」「早稲田大学の意欲ある学生を支援したい」という思いを持つ校友や篤志家が多いことは本学の強みです。
奨学生は思う存分学び、社会に出て活躍し、今度は後輩の支援者になる。
そのような支援の循環を確立させるため、本学では、相談体制を整備するとともに、奨学金受給学生と支援者との交流の場を設けています。

サンフランシスコ平和条約が発効した年が1952年。
日本は主権を回復して国際社会に復帰し、政府渡航外貨予算の一部が海外への留学者に割当てられる措置が取られたことで、大学の国際交流が促進されることになりました。
1953年、三菱UFJ信託奨学財団の前身である財団法人山室記念会が設立された年には、本学でも戦後初めての大学派遣海外留学生3名を欧米に送り出しています。
第二次世界大戦直後の財政的に余裕のない時期でも、世界に目を向け、人と人との交流を通して学問の活性化を図り、同時に世界の平和に寄与しようとの努力をして参りましたが、これは、まさに三菱UFJ信託奨学財団の設立趣意と通ずるものと考えます。
現在、本学は多くの奨学金制度を用意していると述べましたが、独自奨学金だけで全てをカバーするのは現実的ではありません。
独自奨学金は、他の公的な支援等と補完しあうことが理想の姿であり、日本学生支援機構や自治体、そして、三菱UFJ信託奨学財団のような民間の奨学金と組み合わせることで、より充実した支援となると考えています。
三菱UFJ信託奨学財団の支援を受けた奨学生たちが、地域、そして国際社会で輝き活躍できるよう、今後とも支援をいただけますと幸いです。
早稲田大学学生部・矢古宇克昌奨学課長
早稲田大学学生部 矢古宇克昌事務副部長・奨学課長
事務局長のインタビューは2023年11月に実施いたしました。所属・肩書は当時のものです。
奨学金担当部署の方々のインタビューは2023年11月に実施いたしました。所属・肩書は当時のものです。